ヒルベルト行列の正定値性
任意のでない多項式に対して,
\begin{aligned} \int_{0}^{1} f(x)^2 {\rm d} x \gt 0\end{aligned}
ここまでは当たり前体操です。この左辺を変形すると
\begin{aligned} \int_{0}^{1} f(x)^2 {\rm d} x &= \int_{0}^{1} \left(\sum_{i=1}^{n}\sum_{j=1}^{n} a_{i}a_{j} x^{i-1}x^{j-1} \right) {\rm d} x \\ &= \sum_{i=1}^{n}\sum_{j=1}^{n} a_{i}a_{j} \int_{0}^{1} x^{i+j-2} \, {\rm d} x \\ &= \sum_{i=1}^{n}\sum_{j=1}^{n} \frac{a_{i}a_{j}}{i+j-1}\end{aligned}
よって,以下のように第成分がで与えられるを用意すれば,
\begin{aligned} H= \begin{pmatrix}1 & \frac{1}{2} & \frac{1}{3} & \cdots & \frac{1}{n}\\ \frac{1}{2} & \frac{1}{3} & \frac{1}{4} & \ddots & \vdots\\ \frac{1}{3} & \frac{1}{4} & \ddots & \ddots & \vdots\\ \vdots & \ddots & \ddots & \ddots & \frac{1}{2n-2}\\ \frac{1}{n} & \cdots & \cdots & \frac{1}{2n-2} & \frac{1}{2n-1} \end{pmatrix}\end{aligned}
任意のについて,
\begin{aligned} {\boldsymbol a}^{{\rm T}} H {\boldsymbol a} \gt 0\end{aligned}
です。これで先のように定義した行列は正定値であることが分かりました。実はには名前がついていてヒルベルト行列と言います。
こっから先は真面目に計算はしていない妄想です。今回はの表現の基底としてをとったため,に対する二次形式が登場しました。同様の議論での表現の基底としてルジャンドル多項式(厳密には区間をアフィン変換したやつ)を持ってくれば対角行列に対する二次形式が登場することがわかります。つまり,それらの基底の変換行列をとおけば
\begin{aligned} S^{{\rm T}} H S = D : 対角行列 \end{aligned}
と、対角化っぽいことができます。ルジャンドル多項式はよく調べられているのでは簡単に求まり,上の表式からの逆行列も求まりそうです。詳しくは知りません(無責任)。とりあえず久保くんさんの試合を観ます。