BCとCBの固有値の関係

 「特異値分解」ってネットで調べると証明っぽいものが出てきたりします。ぽいものが。その中でありがちな議論は「A^{{\rm T}}A固有値AA^{{\rm T}}固有値でもある」、また「AA^{{\rm T}}固有値A^{{\rm T}}A固有値でもある」ので「AA^{{\rm T}}A^{{\rm T}}A固有値は一致する」みたいなやつです。

 え、重複度について何も議論してなくない??????というわけでそのあたりについて適当に勉強したことを適当に紹介します。特異値分解の証明はいろいろありますが日本語でヒットするものは高確率でガバい気がします。線形代数、そんな簡単ではなさそう。

 

 話がそれたので戻ります。B\in\mathbb R^{n\times m}およびC\in\mathbb R^{m\times n} \ (m\le n) に対して以下が成り立ちます。

\begin{aligned}p_{BC}(t) = t^{n-m}p_{CB}(t)\end{aligned}

ここでp_A(t)Aの固有多項式を表しました。この式からBCCB固有値は重複度を含めて一致することがわかります。(サイズ的に足りない分は0で埋める。)

 証明は(読むのは)とっても簡単で

\begin{aligned}  \left[ \begin{array} { c c } { C B } & { 0 } \\ { B } & { 0 _ { n } } \end{array} \right] \end{aligned}

\begin{aligned}  \left[ \begin{array} { c c } { 0 _ { m } } & { 0 } \\ { B } & { B C } \end{array} \right] \end{aligned}

が実は相似になっていることを示しておしまいです。

 

 この定理を使えば一番上で話した特異値分解の説明も厳密にできます。他にも応用例があって、コーシーの恒等式

\begin{aligned} \operatorname { det } \left( A + x y ^ { {\rm T} } \right) = \operatorname { det } A + y ^ { {\rm T} } ( \operatorname { adj } A ) x \end{aligned}

を示すことができたり,ij成分がi+jで与えられる行列の固有値を求めることができます。